MTG Walker(旧ブログ)時代の記事

【イコリア:巨獣の棲処】変容/Mutateのルールをまとめてみた!

こんにちは。
テーブルトップのマジックでは、リミテッドを中心にプレイしているこたえです。

いよいよ『イコリア:巨獣の棲処』のフルスポイラーリストが公開されましたね!

この記事のシリーズは、『イコリア:巨獣の棲処』に収録されているメカニズム(キーワード能力)とルーリングについてまとめたものです。
また、『イコリア』という次元の特徴や登場するキャラクターなど、ストーリーについても軽く触れようと思います。

初心者の方をはじめ、プレイヤーの皆様が楽しくスムーズにリミテッドをプレイする一助になれれば幸いです。

本題に入る前に

上記のツイートやリンク先の”新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う店舗でのマジックのプレイに関する声明“でも分かるように、マジックもまた、COVID-19(新型コロナウイルス)の影響を大きく受けたコンテンツです。

それに対してのウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の対応は、日本産のTCGに比べても早く的確であったと記憶しています。
特にこの記事には、自社製品に対する誇りと責任を感じ、感動しました。

拙訳ですが、その一部を抜粋して紹介します。

ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のCOVID-19への対応について

COVID-19は、私たちの日常生活やコミュニティを変えています。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の従業員、ファン、パートナーの健康と安全こそが私たちの最優先事項であり、第一の責任です。

状況が変化し続ける中、私たちは細心の注意を払い、新たな取り組みを続けていきます。
それは、コミュニティと地元の店舗とのつながりを維持すること、オンラインプレイの機会とフォーマットを増やすこと、制限を受けているウィザーズ・プレイ・ネットワークの店舗へのサポートを提供することです。

今は大変な時期であることは承知していますが、ストリーミング番組や大会、ゲームなどを保守することで、今後数週間の間に快適さと一体感が得られるのではないかと期待しています。

毎週テーブルを囲むコミュニティにとって、ウィザーズ・プレイ・ネットワークは重要な役割を果たしています。世界的な健康危機が続く中、多くの店舗が経済的な負担を感じているだけでなく、(感染を予防するためにとるべき)人と人との物理的距離が、プレイヤーとコミュニティに与える心理的な負担も感じています。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社は、世界中の店舗やプレイヤーの負担を軽減するための創造的なソリューションを見つけることに尽力しています。

元の記事には、具体的な施策や対応も紹介されていますので、ぜひ読んでみてください。

素晴らしいのは、この声明が公開されたのが2020年3月19日であることです。
※2020年3月11日の段階で、すでにイベントについてのガイドラインおよびポリシー変更のお知らせも出していました。


東京オリンピック延期決定は3月24日小池都知事が外出自粛要請をしたのが3月25日でした。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社がいかに世界の感染状況を早く察知し、対策を練り始めていたかが伺えます。

 

マジックはゲーム性もイラストも素晴らしいですが、その素晴らしいコンテンツを生み出すクリエイターと組織がどのようにクリエイティブを捉え関わっているのかがわかる出来事であり、自分にとっては非常に印象的でした。ガンガン課金します。マジック大好きです。


いっぱいCaw(買う)

 

ここまで読んでくださってありがとうございます。(軽く触れるだけに留めるつもりが1,532文字も書いてしまった)

では、本題に入りましょう!

イコリアのメカニズム

『イコリア:巨獣の棲処』のメカニズム(キーワード能力)は以下の4つです。

  1. 変容/Mutate
  2. 相棒/Companion
  3. サイクリング/Cycling
  4. キーワード・カウンター/Keyword Counters

ひとつずつ見ていきましょう!
この記事では、①変容/Mutateについて詳しくまとめようと思います。

変容/Mutateの基本ルール

変容/Mutateとは?

変容(マナコスト)
あなたがこの呪文をこれの変容コストで唱えるなら、あなたがオーナーであり人間でないクリーチャー一体を対象とし、これをそれの上か下に置く。これらは、一番上のクリーチャーに、その下にある能力すべてを加えたものに変容する。

変容は、イコリア次元を象徴するキーワード能力ですね。ちなみに、mutateは「変化する、突然変異する」という意味の英単語です。

変容したクリーチャーは「合同パーマネント/Merged Permanent」と呼ばれるようです。

新キーワード能力ということもあり、文章だけでは少しイメージしづらいかも知れません。
一つずつその特徴を見ていくことにしましょう。

変容できる対象には制限があります。

変容できるのは、自分がオーナーであり人間でないクリーチャーのみです!

《検問官/Checkpoint Officer》などの人間クリーチャーや、《一時的な連帯/Tentative Connection》などでコントロールを奪ったクリーチャーは変容させられないので注意が必要です。

ルールテキストにはこうも書かれています。

これ(変容コストで唱えられたカード)をそれ(対象のクリーチャー)の上か下に置く。これらは、一番上のクリーチャーに、その下にある能力すべてを加えたものに変容する。

これがどういうことか、詳しく見ていきましょう。
変容したクリーチャーは、文字通り対象のクリーチャーカードの上か下に置かれます。例えば、こんな風に。

どちらの場合も共通しているのは、以下の2点です。

  • 飛行と瞬速を持っていること
  • 《哀歌コウモリ/Dirge Bat》の変容時の誘発効果で対象を破壊すること

異なるのは、クリーチャーの持つ性質とパワー/タフネスです。
上になったクリーチャーのパワー/タフネスを持つクリーチャーとして扱います。

左(《哀歌コウモリ》が下)の場合、これは2マナの白の3/1の猫クリーチャーです。
右(《哀歌コウモリ》が上)の場合、これは4マナの黒の3/3のコウモリクリーチャーです。

基本的にはパワー/タフネスが大きくなるように変容させることがほとんどです。
しかし、いくつかのケースにおいては敢えてそうしないことが有効になる場合もあるのです。

変容/Mutateの上手な使い方

ケース1:疑似速攻

例えば上記のケースで、《サヴァイの剣歯虎/Savai Sabertooth》を現在のターンよりも前に出していた場合、《哀歌コウモリ》を下に変容させるとそのターン中に攻撃に参加させることができます。
上記記載は誤りでした。お詫びして訂正します。

マナコストよりも変容コストが軽い場合、召喚酔いしていないクリーチャーに変容させることで疑似的な速攻を得ることができます。
例えば、《夢尾の鷺/Dreamtail Heron》や《洞窟で囁くもの/Cavern Whisperer》などがそれに当たりますね。

夢尾の鷺洞窟で囁くもの

もちろん除去されてしまった場合はカードアドバンテージを失ってしまうので、テンポを取るべきか否か見極めましょう。

ケース2:クリーチャータイプの恩恵を受ける

例えば《孤児護り、カヒーラ/Kaheera, the Orphanguard》が場にいた場合、

「あなたがコントロールする他の猫、エレメンタル、ナイトメア、恐竜、ビーストは+1/+1の修正を受けるとともに、警戒を得る。」恩恵を受けられるのは、左(《哀歌コウモリ》が下)のクリーチャーのみです。
リミテッドのプールにこういったカードがある場合、覚えておくことで得られる恩恵があるかも知れません。

ケース3:除去を避ける

イコリアには「パワーが4以上のクリーチャーを追放する」インスタント《刃による払拭/Blade Banish》や、「マナコストが2以下のクリーチャーを破壊する」インスタント《恰好の餌食/Easy Prey》などの条件付き除去カードや

《ラバブリンクの冒険者/Lavabrink Venturer》や《絶滅の契機/Extinction Event》のように、マナコストの偶数/奇数を参照するカードがあります。

これらのケースのように、上下の選択がメリットやデメリットを享受するトリガーになる場合もあるため、やみくもにサイズを大きくすればいいわけではないということも覚えておきましょう。
(こういった駆け引きの要素がマジックの奥深さを引き立て、ゲームを一層エキサイティングにしてくれますね!)

余談ですが、開発当初は「変容は必ず上に置く」「クリーチャー・タイプが共通していないと変容できない」などの制限があったそうです。

なぜそれらの制約が取り除かれたのか、変容能力が完成するまでにどのような経緯があったのかがこの記事で語られています。
非常に興味深かったので、ぜひ読んでみてください。

ここまでが変容の基本ルールでした。

では次のような場合、変容はどのように機能するのでしょうか?詳細なルールを確認してみましょう!

変容/Mutateの応用ルール

合同パーマネントが場を離れる場合

例えば上図のように、合同パーマネントが破壊された場合は、上下のカードすべてが墓地に置かれます
変容を複数回していても、それはあくまで1体のクリーチャーとして扱われます。

つまり、合同クリーチャーが戦場を離れる場合、重なっているカードのすべてが該当する領域に置かれます

例えば追放や手札に戻す場合、合同パーマネントのすべてが追放され(手札に戻され)ます。

では、《サヴァイの剣歯虎/Savai Sabertooth》、《哀歌コウモリ/Dirge Bat》、《夢尾の鷺/Dreamtail Heron》の合同パーマネントが、《脱出の儀礼/Escape Protocol》によって一時的に追放された場合は…?

少し複雑な状況…

この場合は、重なっていたカードすべてが、合同していない状態で戦場に戻ります

これは前述の「合同クリーチャーが戦場を離れる場合、重なっているカードのすべてが該当する領域に置かれる」という変容のルールと、「追放されたパーマネントはまったく新しいオブジェクトとして戦場に戻る。それは以前のパーマネントの記憶を持たず、関連もしていない」という明滅に関するルールの組み合わせによるものです。

テーロス/Therosで登場した「授与/Bestow」や、異界月/Eldritch Moonで登場した「合体カード/Meld Card」で遊んだことのある方はイメージしやすいかも知れませんね。

明滅だけでなく、(変容したクリーチャーが飛行を持っていなかった時のみ)《光明の繁殖蛾/Luminous Broodmoth》を使用した場合も同じことが起こりうるので、頭の片隅に置いておくといいかも知れません。

変容の対象となったクリーチャーが、解決前に場を離れた場合

では、変容にスタックして(合同パーマネントになる前)に、対象にしたクリーチャーが除去されてしまった場合はどうでしょう。

この場合、以下のようになります。

  1. 《サヴァイの剣歯虎/Savai Sabertooth》は墓地へ
  2. 《哀歌コウモリ/Dirge Bat》は変容せず、通常のクリーチャーとして場に出る
  3. このとき「このクリーチャーが変容するたび」の誘発型能力は誘発しない

①は変容に限らずマジックではよく起こる処理ですよね。重要なのはこの後です。

②は変容のルール、「対象が不正になった場合は通常のクリーチャー呪文として解決される」に基づいています。インスタントやオーラなどのように、立ち消えになる(効果なく墓地に贈られる)ことはありません。
これはテーロス/Therosで登場した「授与/Bestow」と同じ処理ですね。

③が迷うところかと思いますが、変容の「このクリーチャーが変容するたび」の誘発型能力は、変容クリーチャー呪文が合同パーマネントの一部になったときに誘発します。②のように、通常のクリーチャーとして戦場に出たときには誘発しません。

変容の誘発型能力を誘発させてから除去すれば一対二以上の交換を狙えますが、スタックして除去することで誘発型能力を止めることもできます。
ちなみに、変容クリーチャーを上下どちらに置くかは合同パーマネントになった後に決まりますので、順番を聞いてから除去したり打ち消したりすることはできません。

変容クリーチャーは通常のマナコストより変容コストのほうが軽く設定されていますので、変容を唱える側のプレイとしては、除去されることを見越して、敢えて変容で唱えるという選択をすることもできます。

変容の対象になったクリーチャーが除去の的になる、という状況は、ゲーム中によく見かけることになるでしょう。
変容をするときもそれを除去しようとするときも、駆け引きが発生するため、正着手を見つけるのは極めて困難だと言えます。
盤面やライフはもちろん、変容後に誘発する能力やその回数によって、常に異なる選択を迫られます。

この緊迫感は「やるかやられるか」の世界であるイコリアのフレイバーを非常にうまく表現していると思います。変容は、プレイの幅を広げてくれるユニークで魅力的なキーワード能力ですね!

変容と《本質の散乱/Essence Scatter》

変容コストで唱えたときも、それはクリーチャー呪文です。

つまり、《本質の散乱/Essence Scatter》で打ち消すことができますし、《思考の旋風/Whirlwind of Thought》でドローすることはできません。

同名の伝説のクリーチャーと変容

マジックには「レジェンド・ルール」というものがあります。
平たく言うと、「同名の伝説のカードは一人一枚しか場に出せない。もし複数が同時に場にある場合はひとつを残し、あとはすべて墓地に送る」というルールです。

では、それが変容しようとしている場合は?
《願いの頂点、イルーナ/Illuna, Apex of Wishes》は伝説のクリーチャーですので、当然2体並べることはできませんが、変容の場合はどうなるでしょうか?

変容のルールの中に「変容したクリーチャー呪文を上下のどちらに置いたとしても、それは戦場に元あったクリーチャーと同一のオブジェクトである」という一説があります。
これは、伝説のクリーチャーカードに、同名の変容カードをつけたとしても、伝説のクリーチャーが2体いることにはならないように読めます。

これについてかなり調べたのですが、根拠となる記述は見つけられませんでした。
そこで、認定ジャッジの方が複数人で運営されているアカウント、MTG質問箱(@testing_box)さんにお伺いしてみました。

結論から言うと、これは可能なようです。

また、あるクリーチャーに同名の伝説のクリーチャーを2回変容させることも可能と、教えていただきました。

リミテッドではレアケースかも知れませんが、もしかすると、構築でこういった場面に遭遇することはあるかも知れません。
特にテーブルトップの場合はデジタルと違い自動で処理されることはないので、覚えておくべきルールかも知れませんね。

この場を借りて、改めてMTG質問箱(@testing_box)さんにお礼申し上げます。
ご回答いただき誠にありがとうございました。

参考リンク

イコリア:巨獣の棲処 製品情報関連

イコリア:巨獣の棲処 イベント関連

世界背景などについて

ルールやメカニズムなどについて

セットの開発について

随時、更新予定です!